星の王子さまが教えてくれる大切なこと
今回は「星の王子さま」を紹介したいと思います。
全世界200カ国で読まれていて、2億部を売上ています。日本では、600万部のベストセラーです。
1度は「見たことがある」「読んだことがあるよ」と言う方が多いのではないでしょうか。一方で、「実は、読んだけどよくわからないんだよね」という方もいると思います。
一見、子供向けに見えますが、実は大人向けの作品です。読む人によって、また読むタイミングによって、感想も解釈も違ってくる、とても奥深い作品です。だから面白いんでしょうね。
本作品のメッセージは「大切なものは見えない」ということだと思います。本書を読まれた方も、まだの方も、ネタバレ含みますがいってみましょう。
著者のプロフィール
サン=テグジュペリ 氏
本名:アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ
(Antoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéry)
1900年生まれ。フランスの作家、操縦士。郵便輸送のためのパイロットとして、欧州-南米間の飛行航路開拓などにも携わっておられます。
読者からは、「サンテックス」の愛称で親しまれています。パイロットとしての飛行体験に基づく『夜間飛行』『人間の土地』も著作。1943年に代表作『星の王子さま』を出版されました。
翌年7月31日にコルシカ島沖を飛行中に行方不明となっています。
星の王子さまと砂漠で出会う
本作品の主人公は、星の王子さまではなく、パイロットです。
パイロットは、絵描きになりたい少年でした。子供の頃に、書いた「像を飲み込んだウワバミの絵」は、大人たちに理解してもらえずに孤独を感じます。
主人公は、絵描きは諦めてパイロットになったんです。
砂漠での出会い
パイロットとして飛行中のある日、サハラ砂漠に不時着してしまいます。何も無い、見渡す限りの砂漠で、パイロットは一晩を過ごします。
すると、眠っていたパイロットは、星の王子さまに起こされます。
これが、星の王子さまとの出会いです。
パイロットの絵を理解してくれる王子さま
パイロットは、小さい頃に書いたあの絵を見せます。
するとこんな反応が。
他の大人たちとは違うとパイロットは気がつきます。
王子さまには、ちゃんとパイロットが描きたかった絵に見えたんですね。
地球にたどり着くまで大変だったよ…
どうやら、地球に辿り着くまでに、いくつかの星を転々としてきたようです。
一体、どこから、どうやって地球までの旅をしてきたのでしょうか。
星の王子さま、地球に着くまで
星の王子さまが住んでいる星は、とても小さい星【小惑星B612】です。そこには、綺麗だけど文字通り「トゲ」があるプライドの高いバラが1本咲いていました。
大切にお世話をしていたバラと、王子さまはある日ケンカをしてしまいます。王子さまは、バラと別れて星を出ることにしました。
6つの星を巡ってきた
星の王子さまは、地球に来るまでに6つの星を巡りました。6つの星で、それぞれ個性的な人たちとの出会いがありました。
王様が住んでいる星
そこでは、権力を振りかざす王様が住んでいました。
星を統一することに満足している王様でした。
うぬぼれ屋が住んでいる星
2つ目の星にはうぬぼれ屋が住んでいました。彼はとにかく、名声がほしい人でした。
みんなに認められたいのです。
「さぁ、手をたたけ。拍手をするんだ。頼むからオレを尊敬してくれ」
というのです。
星の王子さまはこう思います。
と旅を続けます。
よっぱらいが住んでいる星
3つ目は、快楽に溺れている酔っ払いが住んでいました。
「忘れたい恥ずかしいことがあるからさ」
と答えます。
「酒を飲むことが恥しいのさ」と。
星の王子さまはこう思います。
実業家が住んでいる星
4つ目の星には、実業家が住んでいました。
実業家は、数字が全ての人です。
「5億162万2731の星を持っているんだ」
「お金持ちになれるんだ」
「他の星を買うことができるんだ」
とこんなやりとりをします。
大人って、本当に奇妙な人たちだな
と旅を続けます。
街灯を灯す人が住んでいる星
5つめの星は珍しい星でした。街灯と、それを灯し、消すを繰り返している人がいるだけの星です。
「命令だからね」と、ひたすら仕事をしています。
王子さまは、この男の人だけは今まで出会った人たちと違う印象を持ちます。
でも、滑稽に見えないのは彼だけだ。それは、あの人が自分のことではなく、他のことを考えているからだろうね。
地理学者が住んでいる星
6つ目の星は、地理学者が住んでいました。
ずーっと、研究をしている人です。
「地球へ行ってみなさい。なかなか評判のいい星だよ」
と地理学者に勧められ、7つ目の地球にきたというわけです。
地球
星の王子さまで、ドキッとさせられる場面です。
6つの星で、色々な大人に出会ってきた星の王子さまです。王子さまには、地球はどのように見えたのでしょうか。
今まで変だと思っていた人たちが、たくさん住んでいる星に見えたのでしょう。
星の王子さまは、パイロットに出会った砂漠に降り立ったのでした。
星の王子さまの「世界にひとつだけのバラ」
砂漠では、最初に蛇と出会います。
「きみが、自分の星が恋しくて帰りたくなったら、俺が助けるよ」と言われます。
「謎は、みんな、俺が解くよ」
と、深いメッセージを蛇は残します。
庭に咲くバラたち
旅の途中で、たくさんのバラたちが咲いた庭に行き着きます。王子さまは衝撃を受けました。
自分の星のバラ1本が、世界に1つのバラだと思っていたからです。5000本のバラと出会ったことで泣いて落ち込みます。
星の王子さま、キツネに大切なことを教わる
ここで、キツネに出会います。
キツネとは、色々な話をして、仲良くなります。10万匹いるキツネの中の1匹と思っていたけど、時間をかけて仲良くなったことで、特別なキツネになりました。
別れ際に「もう一度、バラの花を見に行ってごらん」
とキツネに提案されました。
バラを見に行くと、自分のバラと全然違うことに気がつきました。
きみたちは美しいけれど、僕にとっては価値がないんだ。
きみたちのために死ぬことはできないよ。
ぼくのバラの花もほかの人にとってみたら、きみたちのようなバラの花と何ら変わりないだろうね。
でも、ぼくにとっては、きみたちよりも、あのバラの花がはるかに大切なんだ。
ぼくが水をかけた花だから。
覆いガラスをした花だから。
風に当たらないようにと、ついたてを立てた花なんだから。
1つ2つはチョウになるように取らなかったけれど、花を守るためにケムシをとってやった花なんだからね。
愚痴も聞いたし、自慢話も聞いた、黙っているときは耳を澄ました、そんな花なんだからね。僕のバラなんだよ。
引用 「星の王子さま 21」
星の王子さま、お別れ
パイロットに、ここまでの旅の話をしました。星の王子さまは、まだ更に話を続けようとしました。
飛行機が故障して、8日がたっていたパイロットは、喉の乾きが限界でした。
「君の話しは美しいけど…
喉が乾いて死にそうなんだ」
パイロットは投げやりな気持ちになりました。広大な砂漠から井戸を探すなんて馬鹿げていると思ったからです。
井戸
2人は、井戸を探して砂漠を日が暮れるまで歩きました。夜になると、2人は疲れ果てて座りこみます。
夜空を見上げて、星の王子さまはこんなことをいいます。
砂漠が美しいのは、どこかに井戸が隠れているからだよ。
パイロットは答えます。
「そうだよ。家も、星も、砂漠も、その美しさは、目には見えないんだ」
王子さまは寝てしまいました。
パイロットは、すでに特別になった王子さまを腕に、大切な宝物を抱きしめるように歩き始めます。
考えながら歩いていると、とうとう井戸を見つけました。
見上げてごらん夜空の星を
星の王子さまは、最初に出会った蛇に頼んで、星に帰ろうと思っているようです。
蛇の猛毒。
パイロットはそれで王子さまが死のうと思っていることに気がつきます。
最後に王子さまが言います。
ぼくは、あの星の中の1つに暮らしている。その星で笑っているんだ。
だからきみにとって星はみんな笑っているように見えるだろうね。
そういって、音を立てずに砂の上に倒れ込みます。
翌日には倒れた王子さまの姿は無くなっていました。
ただの砂漠は、どこかで星の王子さまがいるかもしれない砂漠に見えて、パイロットはとても美しく感じました。
まとめ
著者のサン=テグジュペリさんは、
「もし砂漠で小さな男の子を見つけたら、僕に教えてくれ、手紙を書いてほしい。
星の王子さまが帰ってきたってね。」と言います。
最初は、王子さまが星を巡って、色々と質問をして、あっという間に去っていく話しに思えました。でも実は、ただの物語ではなく、沢山の教訓やメッセージが込められています。
例えば、地球までの旅で、奇妙な大人たちが描かれていました。
「変なひとたち」と思っていた人たちが、実は自分にも当てはまっている要素があると感じます。
彼らが愛していたものは何だったでしょう。
・権力
・名声
・快楽
・数字
・仕事
・研究
蛇との出会いでは、意味深なメッセージが残されています。
「謎は、みんな、俺が解くよ」
死の象徴の蛇の毒が、死を考えることで何か謎を解決してくれるというメッセージなのかもしれません。キツネとの出会いでは「大切なものは目には見えない」ということを、何度も気づかせてくれます。
絵の件(くだり)。
その奥を見る心「こども心」を取り戻せるきっかけになるかも知れません。今回、改めて「大切なもの」が見えなくなっていないかな…と振り返ることができる作品だなと感じました。
様々な国
あなたには、別の国に友達はいるでしょうか。日本人でも外国人でもいいです。
大人は、ニュースなどの情報だけで、その国を判断しがちです。
でも、その怖い国に、自分の特別で大切な人がいると想像するとどうでしょう。その国が、綺麗で素敵な国に見えるのではないでしょうか。
私もあなたも、表面的なことだけで、物事を判断してはいけないと気づかせてくれる作品だと改めて感じます。
追伸
今回は、「内藤あいさ」さんが訳された文芸社文庫を元に【要約】してみました。
物語を読んだことのある方は、簡潔すぎる紹介に、思われたことが多いかもしれませんが、そこはご容赦ください…。
コメントでやりとりしましょう。
もし、まだ読まれたことのない方は、良かったらお手にとってお読みください。
色々な方が訳されているので、その違いでも楽しめるかもしれません。
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
昨日の自分よりも、今日の自分が好きになれますように❤️
もし、ご意見などあれば、私のTwitter(@yuunami7373)やコメント頂けますと、嬉しく思います。励みになりますので、よろしくお願いします。
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著者の後日談
1935年、パイロットだった著者のサン=テグジュペリさんは、アフリカのサハラ砂漠に不時着したことがあります。ファンタジーだと思っていたこの物語は、実話だったのかも知れないです。
行方不明になり、他界したと思われていたサン=テグジュペリさん。3日間、自力で歩いて、カイロまでたどり着いて一命を取り留めています。
小説家であった、サン=テグジュペリさんは、当時、ファンも沢山いたようです。
ところが、時代は第二次世界大戦です。
パイロットであったサン=テグジュペリさんは、フランス軍として、地中海でミッションを受けている途中に姿を消します。またもや消息が絶たれました。
年月が経過して、1998年。
地中海から飛行機の残骸が引き上げられました。
そこで、サン=テグジュペリさんの銀のブレスレットが発見されたのです。
機体から、それを撃ち落としたドイツ軍のパイロットまで明らかになりました。ドイツ軍のパイロットは、その事実を知ってとっても悲しみます。
「僕は彼が好きだった。」と。
一説によると、サン=テグジュペリのいる軍隊とは戦いたくないという人たちが多かったようです。それだけ、星の王子さまが小説として愛されていたということでしょうね。
サン=テグジュペリも、星の王子さまも、今もどこかで、あなたを見ていてくれているかもしれません。
今日、星空を見上げてみませんか?
いつもより、美しく感じると思います。
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