「無礼」な態度が生む悲劇
朝からあいさつをしない人。
「君はだからダメなんだよ~」と大勢の前で、注意する上司。
急に電話が鳴り、会話中なのにどこかにいってしまう同僚。
このような態度は無礼だなと思います。
私は、無礼な人は、恥ずかしい人だなと思います。
注意することもあります。でも、個人の問題だから「まぁいいか」と放置することの方が多かった気がします。
自分はしないから、相手の問題だね。と思っていました。
今回の書籍を読むまでは。大間違いだったと反省しています。
「無礼」な態度が生む悲劇
今回ご紹介する内容は、「ThinkCIVILITY【シンク・シビリティ】」です。無礼な態度は、社会全体に想像以上に甚大な被害を及ぼしていることがわかりました。
逆に、礼節を大切にすると、良い効果も期待できるのです。
今回の記事では、「無礼」がどういう悲劇を生むのかがわかります。
私は「無礼な人に、なってはダメ!」ということが言いたいです。
別の記事になりますが、「礼節のメリット」や「無礼な人との付き合い方」についても発信していきます。
では、見ていきましょう。
著者のプロフィール
今回は、「Think CIVILITY《シンク シビリティ》」の要約と書評の記事を書きました。
著者は、クリスティーン・ポラスさんです。
活気ある職場を作ることを目的に、国際連合やGoogle、ピクサーなど様々な大きい組織に礼節についてのコンサルティングされている方です。
あのTEDでもプレゼンテーションされているので、興味がある方は下記をご覧ください。(YouTube:Why being respectful to your coworkers is good for business | Christine Porath
画面右下の「⚙設定」を使えば、日本語字幕をつけ、ご覧いただけますぞ。
本書は、何と20年もの歳月をかけて、リサーチして書かれています。
「無礼」な態度とは【本書の概要】
「貴方は、どういう人間になりたいですか?」
それを思い浮かべならがら、本書を読んでほしいと思います。
私は、「無礼な人になりたくない!」と思いました。
礼節、大切にしたいですね。
アメリカで行われた礼節の調査
アメリカで「礼節」についての調査結果でました。
・礼節に問題があると感じる 95%
・数年前から状況が悪化している 74%
例えば、先輩や上司が、みんなの前で人を怒鳴ったり、いじったりする。
みんなの前でやられると、尊厳は傷つきますよね。
配慮に欠けた「無礼な行為」だと思います。
この「無礼な行為」が、色々なところで存在するというアンケート結果でしょう。
人間関係の悩みも、そりゃ増えますね。
アメリカの調査なので、日本でどれだけ当てはまるかわかりません。
日本のデータ
日本の件、調べてみました。
厚生労働省が発表した相談件数は、12年連続で100万件を超えているようです。
これを見ただけでも、無礼な態度が横行しているのかなと、容易に想像してしまいます。
では、「無礼な態度」がどんな悲劇を生み出しているのか、本書の要約をいたします。
「無礼」な態度が生む《5つの悲劇》
無礼な態度は、色々な悲劇を生みます。
本書で紹介されている悲劇を5つ紹介いたします。
・ 健康を害する
・ 会社に被害をもたらす
・ 思考能力を下げる
・ 認知機能を下げる
・ 人を攻撃的にする
大袈裟なんじゃねーの?
大袈裟でしょうかね。では、順番にみていきましょう。
① 健康を害する
無礼な態度は、相手の「死亡リスク」をあげるということがわかっています。
「死亡リスク」については、長時間労働や、仕事の負荷などよりも、無礼な態度の方が影響力があることがわかっています。
特に、同僚や上司の態度が、協力的で受容的かどうかで、健康への相関関係がみられました。
40歳以上の方になると、格差が2倍あります。
人間関係が良好な方はいいです。
そうでない方は、死亡リスクが2倍以上になるそうです。
相当ストレスがかかっていると思われます。
私は、あいさつをしない同僚や先輩がいるだけで、ストレスを感じるタイプですね。
でも、ストレス感じる奴もいるんだな。
著者:ポラスさんの父親のケース
ポラス先生の父親は、家族に毎日感謝をしている、体格のよいグッドダディだったようです。
4人の子供たちを何としても大学に行かせてあげたい。
娘の立場からは、頑張っている無敵の父親に見えたそうです。
ところが、ある日突然、身体が動かなくなり、入院されました。
いつ、心臓発作が起こってもおかしくない状況でした。
病室で、屈強な身体にチューブが繋がれている姿は、いまでも鮮明に覚えていると。
その父親にはある上司がいました。
その上司は、部下や職場の同僚だけでなく、仕事の取引先の方にも無礼な人でした。
侮辱し、価値を認めず、責め立てる。その上司のもとで、10年以上耐え忍び働いておられたのです。
この人の無礼な態度が、入院の原因だったようです。
無念だったことだと思います。
このエピソードがきっかけとなり、20年もの膨大な時間をかけて、職場の礼節について研究を続けられ、今回の書籍ができたのだと思います。
② 会社に被害をもたらす
会社はチームで動いています。
このチームの中にストレスで働けなる人が出ると、労働する日数や時間が減ります。
個人も、会社も、国も損をします。誰も得をしません。
ここで、アメリカ国立労働安全研究所のデータを紹介します。
仕事に、ストレスを強く感じている人は、そうでない他の方よりも医療コストが46%多くかかるという報告データです。
無礼な態度が持たらすストレスは、寿命もお金も減っていく要因になります。
アメリカ心理学会によると、職場のストレスによって、アメリカ全体で年間5000億ドルもの経済損失が生まれているとも報告されています。
そして、ここからとても重要なことを言います。
特に、経営者や管理職の方にご覧いただきたい内容です。
経営者や管理職のみなさんへ
著者のポラスさんが行った、17業界:800名の方が対象での調査結果です。
職場で同僚や上司から無礼な態度をとられたら、仕事にかける時間や力を意図的に減らす人が激増するということがわかりました。結果、その手を抜く人の数は、50%程度に登ります。
例えば、従業員の方が800名いれば、400名分の労働力になってしまうということです。
写真のように、あからさまな人は少ないと思いますが・・・。
月曜日の朝から、あさいつを無視されたり、小言を言われたら、そうなる気持ちもわかります。ただ、半分の人が手抜き仕事をするというのは、びっくりです。
③ 思考力や集中力を下げる
上司や先輩の立場、あるいは同僚にしても、当人にとっては軽い気持ちで、無礼な言動をとっているのかも知れません。
その結果、わざと手を抜く以上に、無礼な態度を受けた人のパフォーマンスが知らず知らずの間に下がる訳です。
ある医療現場で、パワーハラスメント原因の重大な医療事故を引き起こしたことも、本書の事例に掲載されています。
礼節を欠いた態度は、悲劇をどんどん増殖していきます。
軽い気持ちで、他人をいじってはいけないということではないでしょうか。
④ 認知機能を下げる
あなたは、他のみんなの前で注意されたり、バカにされて、笑われたり恥をかいたりした経験はおありでしょうか。
当事者には、かなり辛い経験になります。
バカにした当人、笑った周りの人にとっては些細な出来事でもです。
この無礼が、認知機能を下げ、判断力が下がったり、約束の時間を忘れてしまったりすることにつながり、更に会社全体の生産性が下がる結果になるようです。
小さなミスが積み重なると、「ハインリッヒの法則」通り、大事故につながるという訳ですね。
1:29:300の法則とも言われておりますな。
自戒を込めてのお願い
ここからは、医療福祉に携わっている者の意見です。
現在、世界中で「高齢者の認知症」が社会問題になっています。
無礼な態度をとられた患者や利用者の方にも、同じような認知機能へのダメージがあるのかなと私は強く感じました。医療従事者や、介護の専門家の方には、そのことをご理解いただきたいと思います。
私も、普段から、患者・利用者に対する、態度や言葉づかいには気を付けたいと思います。
礼節ある接し方に努めようと思います。
同業種のみなさんも、小さいことで良いのでご協力お願いします。
⑤ 人を攻撃的にする
5つ目の悲劇は、人を攻撃的にするというものです。
例えば、小さな誤字脱字を、みんなの前で公表されて、屈辱的な経験をしたとしましょう。「こんな小学生でも書ける字を、君は書けないのかね」というようなシチュエーションです。
こんなことされたら、誰だって腹が立ちますよね。
シャンクスくらいですよ。笑ってやり過ごせるのは。
著者のポラス先生は、下記のようにデータをまとめておられます。
他人に協力しようという人 →3人が1人に減少
他人と何かを分かち合う人 →半分になる
結果的に「仲間?そんなの知りません!」という態度の人が増えるということです。
そして、無意識のうちに、破壊的で攻撃的な思考をしやすくなるのです。
イライラして、他人に攻撃的な態度になって出てくるケースもあります。
無礼な態度が巻き起こすウイルスは、チームワークに悲劇しかもたらしません。
さいご
今回は、「Think CIVILITY《シンク シビリティ》」の紹介をさせて頂きました。
詳細をお知りにたい方は、下に概要を貼り付けていますので、ポチってみて下さい。
お手にとってご覧いただけると嬉しく思います。
さて、無礼な態度が、個人だけでなく、会社全体、社会全体にとても大きな悲劇を生んでいるということがわかる内容だったかと思います。
無礼な態度は、とても怖いということです。そして、高くつきます。
今回は、ネガティブな内容ばかりだったかも知れません。
次回は、礼節のメリットについて、要約をお伝えできればと思っています。
悲劇ではなく、良い効果をお届けできるかと思います。
高齢者の認知症予防
医療や介護福祉に携わっている方にとっては、チームワークも、認知症の課題もありますので、私も含めて本日から「礼節」が認知症予防につながるとお考えになってもらえると、個人的にとても嬉しく思います。
認知症と診断されると、周辺症状といって目に見える症状が出てくる方が大半です。
ウロウロしたり、食べられないものを口にしたり、記憶の障害から何度も同じことを聞いてみたり・・・。
そういう方は、より「無礼な態度」を周りの方から受けがちです。
それが、更に認知機能を下げる要因になっていると、私は強く感じます。
本書では、健常な方ですら認知機能に影響が及ぶと書かれていました。
せめて、私たち専門職のスタッフが、無礼な態度をとらないようにしたいですね。
では、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また次回、遊びにきてもらえると嬉しく思います。
コメント貰えるとワシは喜ぶぞぃ
コメント
無礼は慢心から起こるものです。はっきり申し上げて、その本質は臆病や嫉妬であります。支配的態度なのです。
相手が嫌がるだろうと思って確信的に行う行為であれば、相当罪深いであるでしょう。心のどこかに嫉妬心があればそういう態度に出てしまう気持ちもわかるのであるが。
権力をもっている人間が無礼をすると相当まずい。面倒なのかわざとなのか、挨拶をしない。1人だけに変な黒塗りをして会議で反論しにくいように仕向けるなど。多分、攻撃の対象にする人間を恐れているのであろう。会社組織だけでなく、学校も含めてリーダーがそんな人格だと最悪だと思うのです。
家庭内にそういう態度があれば、安全地帯は一体どこにあるのでしょう。
無礼な態度は、仕事での生産性をさげ、家庭内の幸福度を下げる愚行であると認識できる内容でありました。