ど〜も、たっきんです。
今回は、2026年5月28日に滋賀県庁で開催された「第139回地域創造会議」に参加してきて学んだことや、その感想を書いていきたいと思います。
この地域創造会議は、イキイキコロリや「看取り」がベースにある滋賀県で最大級の研究会(という僕個人の認識)です。
今回のテーマは「美術館における社会的処方の取り組み」。
参加者はリストを見る限り665名だったようです。

今回の投稿は、どうしても参加できなかったお友達のための記事でもあります。
「詳細を知りたい!」
とリクエストをいただきました。僕自身、自分の今の仕事やミッションにリンクして脳が刺激された時間だったので、今回はこの「たっきんラボ」でレポートのような形で記事にしてみます。
話題提供をくださった、滋賀県立美術館の保坂館長の講演やグループワークでの議論を一部をお届けしたいと思います。
僕の参加できなかったお友達に向けたレポートになりますが、お時間のある方、ご興味ある方は読んでいってくださいね。
1. 「孤独」に対する「社会的処方」というアプローチ
まず、ちょっと衝撃的だったのが、OECD(経済協力開発機構)の調査データです。
2002年ごろのちょっと古いデータのようですね


「友人、同僚、社会団体の人と一緒に時間を過ごすことがほとんどない、あるいは全くない」と答える人の割合が、OECD-20平均に対して、日本は15.3%で最も高かったですね。日本は世界的に見ても、極めて孤独や孤立に陥りやすい社会なんだそうです。



そこでイギリスなどで発祥し、注目されているのが「社会的処方(ソーシャルプレスクライビング)」。
家庭医が患者さんに「薬」を出すのではなく、孤独や孤立を防ぐために「地域のアート活動やガーデニングなどのコミュニティへの参加」を処方する仕組みです。この医療機関と地域社会を橋渡しする役割を「リンクワーカー」と呼ぶのだそうです。


初めて知りました
リンクワーカーという職業
これを聞いて、僕のフリーランスの仕事に似てるなって思いました。
困っている人と、それを助けられるサービス(介護・福祉事業所など)を繋いでいくような、僕の『マーケティングデザイン』の仕事って、この「リンクワーカー」の役割に近いというか、同じじゃないかなって。
2. 美術館が実践する「文化的な処方」
保坂館長のお話で、印象に残った具体的なエピソードが3つあるので紹介しますね。
① カナダ・モントリオール美術館の「美術館の処方箋」
リンクワーカーが処方箋を出すと、患者さん本人だけでなく、そのご家族や友人も無料で美術館に行けるそうです。ケアの現場では、当事者だけでなくて、周りで支える家族も大変な思いをしています。だから、本人だけでなく「周りの人も一緒にアートに触れて癒やされる空間を作る」という社会的なアプローチは理にかなっているなって感じました。
② マンスフィールドでの「DV被害者向けプログラム」
貧困や失業が問題となっているアメリカのマンスフィールドという街での取り組みです。DV被害を受けた女性たちに対して、美術館が月に数回、手を動かしてモノを作りながら安心して対話できるプログラムを用意したそうです。
悩みだけをヒヤリングするのではなくて、落ち着いて話せる相手がいて、アートに触れる。「壊れたもの(傷)も、美しい一つの模様になる」と気づき、彼女たちが自分を肯定し、生きるパワーを取り戻していくっていうエピソードでした。
こういった取り組みには、人の心を再生する力があるようですね。
③ ニューヨーク近代美術館(MoMA)発祥の「対話型鑑賞」



アルツハイマー型認知症の方などを対象に、アートという「正解のないテーマ」を前に、自由に「これ、何に見えます?」と対話をするプログラム(VTS:ビジュアル・シンキング・ストラテジー)というそうです。
もともとアメリカでは「自分が感じたことを論理的に言語化して他者に伝える訓練」として始まったそうですが、日本に入ってきた時に独自の進化を遂げたみたいで。 それは、「多様な人たちが、多様な意見を自由に言って、お互いを否定せずに同じ空間で作品を体験していく」という方向性です。
ついつい討論して勝ち負けや優劣(正解)を決めたがることがありますが、訓練を受けたファシリテーターの前では「僕はこう思う」「あなたはそう見えるんだね」と、お互いの違いをただ認め合うことができるようです。 『評価されない』『間違っていると咎められない』からこそ、そこが認知症の方や生きづらさを抱える方にとっての、安心できる「居場所」になるんですね。
3. 「ケアが文化になる」社会へ
日本の社会的処方の第一人者である西智弘先生(川崎市)は、こんなことを仰っているそうです。
リンクワーカーが必要だという議論をすると、結局『専門職がやればいい』となってしまう。そうではなくて、市民一人ひとりが何らかの形でリンクワーカーになれる社会のほうがいい。
そうしていくことで『ケアが文化になる』のではないか
そして、それを体現するように、滋賀県立美術館は全国でも珍しい「静かにしなくていい、おしゃべりしていい美術館」を目指しているのだとか。
毎週木曜日の11時には無料で1時間の対話型鑑賞を行っており「いつでも受け皿になりますよ」と館長が仰っていたのが頼もしく、素晴らしいなと思いました。
4. グループワークでの気づき



講演後のグループワークも、良い話し合いができて、全体シェアの時間も気づきが得られる時間になりました。いろんな意見が出たのですが、特に印象的だったものをいくつか紹介します。
情報が必要な人はどんな人なのか。
知らない間に孤立していることに気づくためのアプローチが必要かも。
美術館は『静かにしなきゃいけない』という敷居の高さがある。
逆に、普段関わりがないからこそ、その敷居の高さが『非日常感』となって、参加者のイイ刺激になる側面もあるのでは。
家族介護の支援にも対話型鑑賞が使えるのでは。
利用者さんとの間で『ありがとう』と思える繋がり直しの機会になるかも。
グループの中には、昔やっていた「婚活パーティーの料理バイト」の話が印象的でした(笑)
初対面の男女でも、「一緒に料理を作る」という全く別の共通テーマ(第三者的な対象)があると、自然と会話が弾むらしいです。
これはよくわかるぜ!
お師匠さん、豚とかっぱと同じゴールを目ざした俺には!


ごくう君の話はさておき、「美術品」という共通テーマがあるからこそ、普段話しにくいことでも自然にコミュニケーション生まれやすくて、芸術が人との繋がりを作ってくれるんだろうなと感じました。
5. 僕個人のミッションステートメント
今回のお話を聞いていて、評価も否定もされない、正解のないアートを通じた安心安全の対話の場って、僕の密かに掲げているミッションステートメントに近しいものがあるなって感じました。
ちょっと恥ずかしいけど今日時点のものを書いておきます。
自然体で自分も相手も認めて、お互いのあり方を満たすことで、関わりたいコミュニティのみんなが嬉しくなる『あるとイイ』空間をつくる
美術館が静かに絵を見るだけの場所から、多様性を認め合いながら、人の心をケアする「文化的な処方」の場所へと進化している…そんな見えない価値を社会に実装しようとされている保坂館長のお話に、リスペクトを感じました。
僕の「あるとデザイン」のビジネスを通して、社会に埋もれている見えない魅力や想いを言葉や形にして、誰もが誰かのリンクワーカーになれるような、関わる人たちがご機嫌になれる空間を作っていきたいなって思った夜になりました。
さいごに
ここまで読み進めていただきましてありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
少しでも僕のお友達の活動や、皆さんの日々の活動のヒントになれば嬉しいです。 素晴らしい気づきをくださった保坂館長や補佐の職員の方、そしていつも素敵な場を創ってくださる地域創造会議の事務局の皆さん、お世話になりました。ありがとうございました。
今回は以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございます^^
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